昨今、歯科医師が訴えられ、損害賠償を請求されるケースが増加している状況です。
「訴えられるのはその病院を管理している院長であって、勤務医は大丈夫」や「勤務してる病院が保険に入ってるから、それで何とかなるのでは?」と、考える方も多いでしょう。
実はそうは言っていられません。近年は勤務医も医療訴訟で訴えられるケースが増えています。

確かに、勤務医の過失は民法の「使用者責任」の規定で、事業主である医療機関側に賠償請求するのが一般的ですが、近年は勤務医も共同被告として訴訟に加えられるケースが急増しており、その確率は約50%(10年前の5倍)となっています。
実際に、開設者と共に担当歯科医師が訴えられているケースがいくつかありました。

この理由としては、以下の事が挙げられます。

1.医師個人の責任を追及して、真相を究明したいと考える患者・家族が増えてきている為
2.病院の経営状況の悪化により予定していた賠償金が受け取れないという事態を避ける為

2つ目について説明すると、通常病院は「病院賠償責任保険(病院賠責)」に加入しているため、仮に医賠責に未加入の勤務医が共同被告となっても、病院賠責で損害賠償分をカバーすることができます。

しかし、訴訟などの影響で患者が激減し、病院が経営破綻するケースも少なくありません。
経営破綻した場合、病院賠責で保険金が支払われても原告側に優先権はなく、他の債権と同等に扱われるので、賠償金額の多くを受け取ることができなくなります。
そうなると、原告側としては共同被告の勤務医から補償を得ようとするわけです。
この際、医賠責に未加入の勤務医は当然自腹で支払うことになります。

さらに近年は、保険料の負担軽減のために病院賠責の補償金額を低く設定する開設者が増加しており、また要求される賠償金が高額な事例も出てきています。
これらのケースにおいて賠償金額が最大補償額を上回ってしまう場合、病院の開設者と勤務医とでその差額を負担する必要も出てくるのです。

勤務医が保険に加入していないのは、リスクが高いということがお分かりいただけたかと思います。
保険への加入を是非検討されては如何でしょうか。