小人数精鋭で運営することが多い歯科医院では、
どうしても人間関係の問題がさまざまな場面に大きな影響を及ぼすことは避けられません。
それは歯科衛生士などのスタッフ自身の問題かもしれませんし、それぞれの相性の問題かもしれません。
しかし、そもそもいろいろな「仕組み」に問題があり、それが人間関係に悪い影響を及ぼし、ひいては退職に至ってしまう、というケースもあります。

■採用直後の教育が体系化されておらず行き当たりばったり

・人員に余裕がないため中途半端な教え方をされ、「あとは何とかなるから…」で教育期間が終了する。
・それでもミスした場合は、問答無用で怒られる。
・先生や先輩スタッフに対する不信感を持つ。

■業務上の目標や期待されている役割が分からない、明示されていない

・そもそも医院や医院長が自分にどのような役割を求めているのか話してくれないし、改めて自分から訊くこともできない。
・日々の仕事は忙しく自分なりには頑張っているつもりだが、自分がどのような目標に向かって行けばよいのか分からない。
・だんだん医院長が「重要な事は何も話してくれず、よく分からない人」に感じてくる。
・理由がよく分かないままに、怒られたり褒められたりすることが発生する。
・医院長に対する不信感を持ち始める。医院長と話すのが嫌になる。

そこで、人間関係を悪化させないための仕組みづくりの提案です。

「仕組みの問題」と言っても、解決策はそれほど難しいものではありません。
最良の方法を考える際には少し時間が必要かもしれませんが、一度作ってしまえば日々運用は、多忙な医院運営自体にもそれほど負荷をかけるものでもありません。
上記の事例に基づいて対策を考えてみます。

●採用時の教育方針やカリキュラムを決めておく

「教育方針」や「カリキュラム」と言ってもそれほど大げさな事ではありません。一言で言えば採用後に「何を、誰が、いつ教えるか」を事前に職種別に決めて、本人と医院全体がそれを理解しておくことです。医院全体で共有しておくことにより、何かあった場合に全体でフォローができ、それが相互の信頼関係構築にもつながります。

もし何らかの事情で研修の一部を割愛せざるを得なかった場合なども含め、「何をどこまで教わっているのか」を、本人とスタッフ全員が共有していることがポイントです。

●スタッフの業務上の目標を明確にする

一口に「業務上の目標を決める」とは言っても意外と難しいものです。最初は少し手間がかかりますが、本人が「どうなりたいのか」も踏まえ、十分に話し合って決めるのが良いでしょう。もちろん医院側からも、「どのような役割を担って欲しいか」は十分に伝えるべきですが、目標が押しつけになってしまってはかえって逆効果です。

少し極端な言い方かもしれませんが、自分の能力や成果が客観的に評価される場であるならば、多少人間関係がギクシャクしようとも我慢ができますし、さらに自ら進んで改善しようとする意欲も湧いてきます。逆にそのような場でなければ、人間関係に押しつぶされてしまうことも多くなるでしょう。