歯科医師、歯科衛生士、歯科助手。この三種類の働き方が、歯科医院では一般的です。

 

しかし、それ以外にも、「歯科技工士」という仕事があります。歯科業界以外で世間的な認知度は高くありませんが、重要な仕事で、若手不足の今はチャンスがあると言われます。

 

■「歯科技工士」とはどんな仕事なのか

歯科技工士の仕事は、歯科医師の指示に従い、歯に関する様々な詰め物を作ることです。

 

たとえば、入れ歯、差し歯、マウスピース、歯の矯正装置なども、歯科技工士が作成します。世間一般にイメージされやすいのは、虫歯を削った後に入れる詰め物でしょうか。これも歯科技工士が作成しています。

 

医師や衛生士が取った歯の型を、歯科技工士が確認して、詰め物を作っていくのです。

 

歯科技工士の仕事は、ある意味で、歯科医師よりも神経を使うとも言われます。というのも、誰にでも経験があることと思われますが、口の中の異物感というのは、一度気になると仕方なく、またそれによって痛みや噛みあわせの不良が起こることもあります。そんな繊細な口内に入れる人工物を作る歯科技工士の仕事には、非常に繊細な技術と高い集中力が求められるのです。

 

決して誰にでも務まる仕事というわけもなく、歯科技工士になるためには、「歯科技工士国家試験」に合格しなければなりません。受験資格として、高校卒業後、歯科技工士を養成する大学・短大、または専門学校に入学して、しっかりと勉強する必要もあります。

 

■経験と技術が求められる仕事~若手不足の現状

歯科医師も大学で歯科技工の教育は受けるのですが、非常に専門的な技術を要求される仕事なので、詰め物は技工士に作ってもらうことがほとんどです。よって、歯科技工士に任される仕事は絶えず、今後も銀歯や差し歯などの詰め物が必要とされる限り、職業としては安定していると言えます。

 

先述の通り、技工士の仕事はたいへん繊細な技術と高い集中力を求められるので、ベテランの従事者が多い現状です。その反面、若手の人材が不足している状況で、常に「若い人が欲しい」という一定の求人があります。「できるだけ資本のしっかりしている歯科技工会社でなければ」というようなこだわりがないなら、毎年の定期採用もある仕事なので、実務経験のない新卒者でもどこかに就職先を見つけることができるでしょう。

 

優れた技工士は、歯科機材メーカーに引き抜かれることもあるようです。あらゆる詰め物を作ることも技工士にしかできない誇りある仕事ですが、メーカーでの新しい商品開発に関われるのは、また違った刺激があり、興味がある人には向いているかもしれません。

 

一点、不安なところがあるとすれば、最近のアジアの技工物の輸入の安さです。安く作ってくれるアジアの技工会社に発注する歯科医院も少なくありません。しかし、モノづくりの国である日本の歯科技工物の技術は、やはりトップレベルです。口の中に入れる物なのでやはり質を求めたいと、病院の評判のためにも、日本の歯科技工士は頼られています。

 

今後、歯科業界を目指そうと思っている人は、十分に検討する価値のある魅力的な仕事です。ブランクのある人の採用や、中途採用も多いので、そのような事情があっても、技術があれば就職先の心配は無用です。